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京都「老松」の夏季限定・爽やかな京菓子「晩柑(ばんかん)」に涼を感じて

日本人なら一度は憧れる特別な場所「京都」。夏に訪れたことのある方は、湿り気を帯びた独特の暑さを体感されたことでしょう。どこへ出かけてもひたひたと追いかけてくるような暑さをしのぐため、京都の人々は風通しのよい町家に住んだり、川の上に床をしいたりと知恵を絞って暮らしてきました。このようにして涼をとる習慣は和菓子の世界にも見受けられます。今回ご紹介するのは、京菓子司「老松」が供する寒天の和菓子「晩柑」。春から初夏の人気菓子「夏柑糖」の終了後に店頭に並ぶ、京の夏にぴったりの、涼感あふれるお菓子です。

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初夏から晩夏まで店頭に並ぶ「晩柑」。口に運べば柑橘の爽快な香りがさっと鼻にぬけ、ほどよい甘味と酸味、ほろ苦さがアクセントとなって口の中に広がりました。酸味と苦味を感じるので、確かに蒸し暑い夏にぴったりの味わい。地方発送も可能な、夏の京菓子です。

舞妓さん、芸妓さんが集う京都最古の花街・上七軒

京都がひときわ活気づく夏は、鴨川沿いのあちこちに施された納涼床に風情を感じる季節。加えて、祇園など花街界隈を行き来する舞妓さんの浴衣姿は京都らしい夏の風物詩と言えるでしょう。

そんな彼女たちが舞い、踊る京都の花街の中で、最も古い歴史を有するのが市内の西北に位置する上七軒。“天神さん”の愛称で親しまれている北野天満宮の東参道一帯に歌舞練場やお茶屋さんが点在し、昔ながらの花街の姿を色濃く残しています。

老松のルーツは、朝廷の儀式に使われる菓子に携わっていたお公家さん

京都らしい華やかな花街の一角に、明治41年(1908年)から店を構える京菓子司「老松」があります。かつて京都に帝の住まいがあった頃、宮廷祭祇官の流れをくむ老松当家は、宮中での儀式、典礼に用いられる有職菓子や、茶席の菓子を手がけたことから、屋号を有職菓子御調進所と定めています。

現在でもその名残として、人生最大の行事・婚礼に贈る大変めでたい菓子「子持薯蕷(こもちまんじゅう)」などを作っています。

伝統を守りながら新たな時代に寄り添う京菓子店

老松の菓子には、先述の婚礼菓子のほか茶道で供する生菓子など、日本の歳時記や季節を表した伝統的な京菓子があります。

そしてもう一つ、新たに生みだす菓子もあります。その最たる例が、同店の夏の代表作「夏柑糖」。戦後間もない頃、食べ物がなかった時代に、かつての主人が自宅の庭にあった夏蜜柑の果実と寒天、少しの砂糖を合わせて固めたものを、上七軒のお茶屋さんに通う旦那衆に出したのが始まりとされています。砂糖が高級品だった時代に、世の人々が求めた「甘味」はもちろんのこと、気の利いた手土産として喜ばれたことが新しい菓子の誕生に繋がりました。

現在では最先端の文化と情報が発信される東京・伊勢丹新宿店の支店において、現代的なエッセンスをふんだんに取り込んだ和菓子を期間限定で販売。例えばリボンや洋花といった女性らしいモチーフを使ったり、クリスマスシーズンには琥珀糖の小さなクリスマスツリーを企画したりと、自由な発想も大切にしています。

初夏には「夏柑糖」、蒸し暑い夏には「晩柑」。ほろ苦さと爽快な柑橘の香りが涼を呼ぶ

戦後の食糧事情から誕生した夏柑糖は、春の中旬ごろから初夏にかけて販売されます。その後、おおむね初夏から晩夏まで「晩柑」が店頭に並びます。晩柑はグレープフルーツの果汁と砂糖を合わせ、寒天で固めた和菓子で、製法は夏柑糖と同じく一つひとつ手作り。

その晩柑が完成するまでには、国産のあらゆる柑橘を試したのだとか。しかし昨今の品種改良でどれも甘みが強く、老松が作りたい味とは違っていました。こうして試行錯誤の末、たどり着いたのが外国産のグレープフルーツ。

独特のほろ苦さとキレのある甘味と酸味、スッキリとした爽やかな香りが、砂糖や寒天を合わせるとちょうど良い風味に仕上がったと、広報担当の片岡さんは話します。

また作る時にも細心の注意が必要です。というのも、果実と表皮の間にある白い皮には苦味成分が多く、果汁を絞るときの力が強すぎると苦味が強めに出てしまうのだとか。そのため係を予め決めておき、絞る力と味にムラが出ないように工夫しています。

またグレープフルーツの器に寒天液を流し込む時の温度によって仕上がった時の食感が異なるため、寒天液の温度を細かく設定しているそう。

こうして完成する晩柑はグレープフルーツ一玉をまるごと使用しておりボリューム満点。いざスプーンですくってみると、寒天独特のサクッとした少し固めの感触が手に伝わってきます。

続けて、口に運べば柑橘の爽快な香りがさっと鼻にぬけ、ほどよい甘味と酸味、ほろ苦さがアクセントとなって口の中に広がりました。酸味と苦味を感じるので、確かに蒸し暑い夏にぴったりの味わい。見た目もさることながら風味にも涼を感じます。

固めの感触でありながら、食べてみると噛む間もなく雪のように溶けて消えてしまう繊細な食感。加えて静かに続く苦味の余韻が、この菓子の美味しさを強く印象づけました。

販売は持ち帰り用のみ、地方発送も可能です。誰にでも好まれるあっさりとした風味は、由緒ある老舗の菓子という風格もあいまって目上の方の季節のご挨拶にぴったり。また安心できるシンプルな材料と製法で、子供からお年寄りまで年齢を選ばない手土産としても喜ばれるでしょう。

“世界に誇る芸術”という自負と、歴史を継承する使命を携えて

抽象的に、時に具象的に、季節の移ろいや歳時記、和歌や古典の世界を自由自在に表現してきた和菓子。それは形だけではなく、色づかいや味わい、手にした時の感触、菓子の名前に至るまで、五感を総動員させて堪能する“世界に誇る芸術”と言っても過言ではありません。

全国各地の伝統工芸が惜しくも消えていく現代において、和菓子という芸術を途切れることなく後世へ伝えていくことが老松の使命だと片岡さんは語ります。そのためには、いつの時代も人々に愛される菓子であることが第一。伝統を守る一方で、時代の流れに寄り添いながら新しいものを生み出す姿勢こそが、老松の真骨頂であり、和菓子を継承していける存在と言えるのではないでしょうか。

【店舗情報】information

店名:老松 北野店
住所:京都府京都市上京区社家長屋町675-2
電話:075-463-3050
営業時間:8:30~18:00
定休日:不定休
料金:晩柑1個 1080円(税込)
販売店:老松 北野店、嵐山店、大丸京都店、伊勢丹新宿店、オンラインストア
詳細は公式HPで確認を。

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