江戸時代の人々も味わっていた!夏の定番食材スイカ
夏の風物のひとつ、スイカ。江戸時代の庶民も楽しみにしていたようで、スイカを切り分ける様子を描いた絵が残されています。
原産地は南アフリカで、暑い上に水が少ない地帯の貴重な水資源としての役割を担ってきました。原産地のスイカには甘味がありませんが、日本で栽培されているスイカには甘味があり、水分補給とエネルギー補給が同時にできるスグレモノです。最近は、冷蔵庫の邪魔にならない小玉スイカも多く出回っています。暑い季節だからこその旬の味なんですね。
スイカの栄養 夏の暑さから体を守る優秀食材
スイカの栄養で注目したいのが、シトルリンとカリウムです。
シトルリンには血流をよくして老廃物を流す作用、カリウムには利尿作用があります。両方合わせて、むくみ解消、高血圧や動脈硬化の予防にも効果的。
赤い色は、トマトにも含まれるリコピンとβ-カロテンです。どちらも抗酸化作用があることで知られていますが、中でもリコピンの抗酸化力は最強クラス。いわゆる「体の錆びつき」を予防し、β-カロテンの皮膚や粘膜を保護する働きと合わせて、強い日射しから体を守ってくれます。
さらには、ウリ科特有の体を冷やす作用を備え、すぐにエネルギーに変化するというスイカの糖分。夏バテ解消、汗をかいたあとのエネルギー補給にぴったりです。
スイカの種類 形・大きさ・皮の色もさまざま
スイカといえば、かつては、丸くてサイズは大玉、果肉は赤が一般的でしたが、最近は片手でも持てる小玉サイズや楕円形、黄色い果肉のスイカもポピュラーになってきました。
また、定番の「緑地に黒い縞模様」の皮にも変化が! 「でんすけすいか」あるいは「ダイナマイトスイカ」の名前で知られる北海道生まれのスイカは、黒い皮が特徴です。そのほか、全体が薄い緑色の「旭大和」など、多種多彩な品種が見られるようになりました。
ちなみに、農林水産省・平成27年の統計データによると、スイカの収穫量日本一を誇るのは、熊本県です。
甘いスイカの見分け方 そのポイントとは?
せっかく大きなスイカを買っても、甘味が足りないとがっかりしてしまいます。甘さを見分けるポイントを覚えておきましょう。
まず、皮をチェック。縞模様がはっきりしていて、ツヤやハリがあるものを選びます。
もうひとつのチェックポイントが、おしりの「おへそ」と呼ばれる部分です。大きさ5円玉くらいがベスト。それより小さい場合は熟し具合が足りず、大きい場合は熟しすぎてスカスカになっている可能性があります。
カットされたものを買う場合は、種が黒く、果肉と皮の境界がはっきりしているものを選びましょう。
ちなみに、皮をコンコンと叩いている人を見かけることがありますが、音で聞き分けるのは難しく、あまり意味がないとも言われています。
スイカの保存方法 冷凍すれば即席シャーベットに!
スイカは冷やすと甘味が減ってしまいます。買ってきたら常温で置き、食べる2時間くらい前に冷蔵庫に入れて冷やすようにしましょう。
<冷蔵する場合>
1回で食べ切れなかった場合は、ラップをぴっちり巻く、あるいは、果肉と皮を切り離し、果肉だけを保存容器などに入れて冷蔵庫へ。そして、2~3日のうちには食べ切るようにしましょう。
切り離した皮は、サラダや漬け物に利用できます。皮にもシトルリンやカリウムがたっぷり含まれているので、ぜひ活用したいところ。後ほど、簡単なサラダをご紹介します。
<冷凍する場合>
スイカは、冷凍すると食感が変わり甘味もぐんと落ちてしまうので不向きとされていますが、シャーベットやスムージーに利用するなら冷凍もOK。
皮と切り離してひと口サイズに切り、保存袋や保存容器に入れ、砂糖をまぶしておきましょう。冷凍されたものをそのままかじれば、即席シャーベットの出来上がりです。
スイカのおいしい切り方 甘味が均等になるには?
スイカのいちばん甘い部分は、中心部です。中心部が均等に行き渡るように切ると、だれもが甘さを楽しめます。
<切り方>
1.スイカを縦8分の1(もしくは16分の1)に切り、まな板の上に寝かせる。
2.中心から放射状に切る。
簡単おいしいスイカレシピ ジュースにサラダに大変身!
果肉はジュースやシャーベットに、皮はサラダに、残すところなくスイカの栄養をいただきましょう。
スイカジュース ミキサーいらずでお手軽おやつ!
すりおろしてから、ザルなどでこして作ります。そのまま食べるよりも、スイカの栄養がたっぷり取れそうなジュースです。
<材料>
・スイカ(適宜)
・好みで砂糖など
<作り方>
1.スイカを適当な大きさに切り、皮は残してすりおろす。
2.すりおろしたスイカをサルやこし器に入れ、スプーンなどを押し当てながら、水分を絞り出すようにこす。
3.氷を浮かべたら出来上がり。
<アドバイス>
・味を見て、好みで砂糖やはちみつを足してください。
・ミントの葉やレモンを浮かべても、さわやか。
子どもと一緒に手作り!スイカシャーベット
子どもと一緒に作れる簡単なスイカシャーベットです。お昼どきに作って、3時のおやつにどうぞ。
<材料>2~3人分
・スイカ(200g)
・無糖ヨーグルト(100g)
・練乳(大さじ2~3)
<作り方>
1.スイカは果肉と皮に分け、果肉を1cm程度の角切りにする。
2.スイカの種を取り除き、ヨーグルトと一緒にフリーザー用の袋に入れる。
3.袋の上から、スイカをもんで軽くつぶす。
4.袋ごと冷凍庫に入れて凍らせる。
5.凍った袋を上から軽くもみ、少し溶けてきたら器に盛る。
6.練乳をかけて出来上がり!
<アドバイス>
・スイカやヨーグルトの量は、お好みで調節してください。
・練乳がない場合は、ヨーグルトと一緒に砂糖(大さじ2~3)を入れてもOKです。甘くしたくない場合は、スイカとヨーグルトだけでも。
・ヨーグルトの代わりに、乳酸菌飲料でもおいしくできます。
・冷凍庫から取り出してすぐはカチカチになっているので、軽く手でもむと器に盛りやすくなります。
スイカの皮のサラダ
スイカの皮(外の固い部分を取り除いたもの)を使ったサラダ。赤い部分が少し入ると、彩りがきれいです。塩でしんなりさせ、マヨネーズと醤油であえると、ウリ臭さが消えてさっぱり食べられます。
<材料>3~4人分
・大玉スイカの皮(1/8個分)
・塩(小さじ1~2)
・マヨネーズ(大さじ2~3)
・醤油(少々)
<作り方>
1.スイカの皮を3cm×3cmくらいのブロックに切り分ける。
2.皮を外の固い部分と白い部分に分ける。
3.白い部分を薄い短冊切りにする。
4.3をボウルに入れ、塩を振って軽くもみ、30分ほど置く。
5.4がしんなりしたら、水気をよく絞る。
6.5を器に入れ、マヨネーズと醤油であえたら出来上がり!
<アドバイス>
・3cm×3cm程度のブロックにすると、皮の固い部分と白い部分が切り分けやすくなります。
・水気を絞った後、塩気が強いと感じた場合は、少し水にさらして塩分を抜いてください。
・大人向けには、七味唐辛子をプラスしても美味。
種類や料理法で味わいいろいろ!スイカの栄養をたっぷりいただき夏を乗り切りましょう
旬の野菜や果物には、季節に合わせた効能があります。お伝えした通り、スイカも、そう。体にたまった老廃物を流し去り、水分と糖分を補給して、暑い夏を過ごす手助けをしてくれます。手作りおやつは、子どもとのコミュニケーションにもぴったり。
その日の気分でサイズや色を選び、夏を乗り切っていきましょう。