kabukiオフィシャル

厳選した情報をお届けします。

京都・先斗町の茶香房「長竹」へ お茶の新たな楽しみ方を求めて名物店主に会いにゆく

日本人なら一度は憧れる特別な場所「京都」。まぶしいほどの新緑で彩られる山々に街が包まれる今の時分は、宇治茶も新茶が収穫される時期でもあります。そんな京都で生まれ育ち、街中の「美味しいもん」に出会った筆者がご紹介する「うるわしの手土産」。今回はお茶に魅了され、長年に渡りお茶の楽しみ方を提案し続けている先斗町(ぽんとちょう)の茶香房「長竹」へ、一年のうち最もお茶を美味しく感じられる5月にお邪魔しました。ご主人が伝える茶の魅力や“目からウロコ”の楽しみ方、そこから見えてくる新たなストーリーをお届けします。

  • はてな
  • Twitter
  • facebook
  • google+
  • LINE
1,420view

新茶の季節 京都の茶房でお茶を“楽しむ”という発想

京都の街がまぶしいほどの新緑に包まれる今の時分は、日本茶の一大産地・宇治市で新茶が収穫される時期。街中には「新茶」の看板があちこちに掲げられ、自ずと晩春の季節を感じさせます。そしてその年のボジョレーヌーボーを味わうように、今年の新茶の出来を確かめてみるのも茶の醍醐味です。

茶の楽しみはそれだけではありません。しかし私たち日本人にとって身近な存在の日本茶は身近でありすぎるために、もしかすると“楽しむ”という発想に欠けているのではないでしょうか。もしここで少し立ち止まって“当たり前”に向き合えたなら、自分が知りえなかった世界が見えてくるかもしれません。今回ご紹介するお店は、知れば知るほど新たな世界の扉を開いてくれ、そして茶への親しみをもたらしてくれる古都の茶房です。

ひとしずくの玉露がもたらす驚きと発見

「ちょっとこれ、飲んでみ」。カウンターで抹茶スイーツに舌鼓を打っていた女性に、おもむろに店主が差し出したお茶。わずか小指の先ほどしかない小さな茶器の中には、薄緑色の玉露がほんの数滴。店主の勧められるままに飲んだ女性は、目を丸くしてこう言いました「こんなお茶、今まで飲んだことありません!」。

情緒たっぷりの先斗町 町屋界隈で嗜む、美味なる茶

慣れ親しんできた茶を飲んでいるだけなのに、驚きと新たな発見を体験させてくれる。それが茶房「長竹」です。

三条通りから西へ入ると、四条通りへ向かって南北へ長く伸びる石畳の路地が先斗町(ぽんとちょう)。京都の花街風情を色濃く残すこのエリアは、市内の中でもより京都らしさを感じられる場所。そんな情緒たっぷりの路地に構える長竹には、店主が供する美味なる茶の噂を聞きつけ、馴染みの客から国内外の観光客までひっきりなしに訪れます。提供しているお茶は日本茶のほか紅茶や中国茶も。バリエーション豊かに揃っている点も、店の特徴の一つです。

店主の長竹さんが店を始めた理由は、昭和45年ごろに出会った茶園の園長がきっかけ。当時は「購入してまでお茶を飲むなんて」と、日本茶に対する意識が低かったため「お茶を楽しめる何かをやってくれないか」と園長から託されたと話します。その出来事から茶の世界にはまり、今日に至るまでさまざまな楽しみ方を提案し続けています。

湯温で変わる味、茶葉の形……茶にまつわる全てがエンターテイメント!

例えば煎茶をオーダーすると、サーブされるのは広口の湯飲みに入った熱めのお茶と、湯が入ったおおぶりの急須。湯飲みの底には茶葉がたっぷりと沈んでいるのが見て取れます。ここでは普段の飲み方と異なり、急須の湯を足しながら飲むスタイル。

湯がまだ熱い時は茶葉も入りたてで水色はほぼ透明、一口すするとかすかに煎茶の風味を感じる程度。しかし時間の経った湯を足す頃には針のようだった茶葉が開き、じんわりと清々しい味と香り、葉の緑色が沁みだします。さらに注目すべきは茶葉。「日本茶の茶葉って、こんなにキレイな色をしているの?」と驚くほどの鮮やかな緑色をしています。茶葉を急須に入れて抽出する方法では、茶葉の色には気づかないでしょう。

「何度もお湯を足して飲んでくださいね」とレクチャーしてくれる長竹さんの言葉の裏には、このスタイルの面白さが隠れています。

というのも、何度も湯を足すということはそれだけ時間をかけて味わうということ。また時間をかけるので急須の湯の温度が徐々に下がり、熱めの湯、ちょっと熱めの湯、ぬるめの湯と、湯の温度によって茶の味わいの違いを様々に感じることができます。

茶を自由に味わい、楽しむこと

しかし煎茶や玉露など高級茶葉は、適正な湯の温度で淹れなくてはいけないルールがあるはず。その疑問を店主にぶつけてみると「ルールは気にしなくてええ」と、思いもよらぬ答えが返ってきました。

その真意は「ルールを守ろうとして頑張るから気軽に飲めへん。お茶は自分の好きなように楽しく飲むもんや」と。確かに「こうしなければ!」と構えてしまうと面倒に感じてしまい、その気分が積み重なれば自ずと興味も遠のいてしまうもの。

それに「茶」は本来、飲むことでほっと癒されたり、ひとときの時間を楽しむもののはず。であれば、自分が心地いいと感じるように、もっと自由に茶を味わってもいいのではないか――長竹さんの言葉からはそんな思いがくみ取れました。

味わいが幾通りにも広がる!玉露の驚きのレシピ

続いて店主は片口のついた浅めの器に玉露の茶葉を入れると、氷を掴んで茶葉の上に落とし、湯を入れてフタをしました。

少し待ってから供された茶は、丸みのある甘味とスッキリとキレのある後口が印象的な玉露。前述の数滴の玉露とは異なる、蒸し暑い日本の夏にぴったりの爽快な味わいに変化していました。

「氷が溶けるまで、お湯をかけてなんぼでも楽しめるんや」と楽しそうに語る長竹さん。さらに飲み切った茶葉に塩をふり、白ごはんに混ぜ込んだご飯は、茶葉の清涼感と塩気があいまった絶妙な一品に。出がらしまでも捨てずに立派なご飯ものに変えてしまうアイディアは、終始驚きと発見に溢れていました。

手土産に大人気「抹茶大福」

最後に紹介いただいたのは、長竹さん特製の抹茶大福。店主は京都で最初に抹茶スイーツを販売した第一人者としても知られており、特に大福は手土産に3セット、4セットと購入していくなじみ客も多いのだとか。

こぶりの大福をかじると、もちっとした求肥の皮の弾力に続いて抹茶の香りがふわーっと鼻に抜け、濃厚な抹茶の風味が口の中に広がります。甘さ控えめでしつこくなく、同店の煎茶を合わせてじっくり味わいたくなる美味しさ。抹茶自体もおうすに使うグレードの品質のよいものを厳選しています。

お茶は「お茶盌(わん)とお湯があれば誰でものめる」

あの手この手で茶を自由に味わうこと。その根底には、店主の飽くなき好奇心と、楽しむことへの情熱がありました。「お茶碗とお湯があればええ」と店主が語るように、ルールや当たり前にとらわれず、そこから一歩踏み出して自分なりの楽しみ方を探してみること。その好奇心こそが茶だけでなく、暮らしの中に「楽しさ」を見つける、ヒントになるのかもしれません。

【店舗情報】information

店名:茶香房 長竹
住所:京都市中京区先斗町三条下ル材木町189
電話:075-213-4608
営業時間:13:00~22:00(L.O)
定休日:水休、月1回不定休
料金:お菓子とお茶のセット1080円〜2000円、抹茶大福1300円
販売店:茶香房 長竹
詳細は各種サイトで確認を。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

関連する買いモノ

関連する読みモノ

アクセスランキング

人気のある記事ランキング

kabukiペディア   >   kabukiオフィシャル   >   読みモノ   >   京都・先斗町の茶香房「長竹」へ お茶の新たな楽...

キーワード