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マンハッタンにはメトロポリタンミュージアムやMOMAなど、世界的に知られている美術館がたくさんありますが、ブルックリンにも独特のキュレーションで知られるブルックリンミュージアムがあります。今回はそこで開催中のジョージア・オキーフ展を紹介します。見終えて思い浮かんだ言葉は "You are what you wear "。オキーフの魅力とともに自分のスタイルについて考える機会をくれるエキジビションです。

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ブルックリンミュージアムで開催中のジョージア・オキーフ展(Georgia O’keeffe : Living Modern 7月23日まで開催 )は、毎日たくさんの人が訪れている話題のエキジビションです。普通の回顧展のようにオキーフの絵が中心ではなく、彼女が着ていたワードローブと彼女自身の写真を通してその人となりを知る内容になっていると聞いて、出かけてきました。

今回のエキジビション用に作られた目録。内容は、エキジビション同様に、アーティストになる前のオキーフ、ニューヨーク時代、ニューメキシコ時代、被写体として著名なフォトグラファーやアーティストたちに人気が高かったオキーフ。

幼少時代から「自分スタイル」にこだわっていたというオキーフ

会場に入るとすぐに1907年に描かれた20歳のジョージア・オキーフ ( 1887~1963 )の肖像画がありました。1907年というと、アメリカはまだロングドレスが主流だった頃。絵の中のオキーフも、フワッとした袖に白いレース襟のロングドレス。ブラック&ホワイトのギンガムが個性的だなと思いながら解説を読むと、オキーフは、幼少の頃から一貫して、服装はプレーンな独自のスタイルにこだわっていたと書いてありました。

その信念は、最期まで変わらなかったそうです。

1907年に描かれた、アートスクールの学生だったころのオキーフの肖像画。華やかな色柄が主流だった時代に、ブラックのギンガムチェックを選んで着ていたオキーフ。

次の部屋には、1920年代のクリーム色のシルクのワンピースと、モノトーンのオキーフの作品が並んでいました。なんと、このワンピースはオキーフ自身の手縫いと聞いてびっくり。

女性らしいフォルムだけれど、華美な装飾が一切ないプレーンなワンピースからは、彼女の意志の強さが伝わってくるようでした。

同じ部屋に飾ってあるモノトーンの彼女の作品が、ワンピースと同じ表情、雰囲気に感じられて、しばし、その空気感に浸りました。

目録の中にあった、展示してあったワンピースを着たオキーフのページ。1918年にテキサスでの美術教員の職を辞めてマンハッタンへ移住して、フルタイムでアーティストの道をスタートした頃。

これらのブラウスもオキーフの手縫い。わたしだけでなく、たくさんの来園者が、その繊細な縫製に、顔を近づけながら見入っていました。

ニューヨーク時代 ブラックの時代

1930年代のニューヨーク。華美なアクセサリーを好まず、もっぱらブラックを身にまとい、髪をひとつにまとめていたオキーフ。そのモダンな装いは「これがアーティストのジョージア・オキーフ」という印象を人々に与えました。でも、いつもブラックを着ていた本当の理由は、色彩感覚を高めるためだったそうです。

美術界の動向などは一切気にせずに、花や風景や牛骨といった同じ題材を繰り返し描いて、自分の世界を貫いていったオキーフは、作品同様、ファッションにも、自分の世界を持っていたのですね。



左ページでオキーフと一緒に写っているのは、夫でありフォトグラファーのアルフレッド・スティーグリッツ。ふたりの歳の差は23歳。

1916年、本人に無断で、自分のギャラリーで「ジョージア・オキーフ展」を開催したスティーグリッツ。それに文句を言うためにニューヨークにやってきたオキーフに、スティーグリッツは惹かれ、1918年、ニューヨークにオキーフのためのアトリエを作って彼女を呼び寄せます。でも既婚者だったために、結婚できたのは1924年。なのですが……。その後もスティーグリッツの若い女性好きは治らず、オキーフはニューメキシコで制作活動を続けました。

これはわたし個人の意見ですが、大都会ニューヨークの中で着るブラックのイメージは、自分を外から守ってくれる強い色。弱さを隠す色。流行にとらわれず常に洗練された印象を相手に与える色。

二人の結婚生活は、互いを労わり寄り添うもののではなく、批評しあい、創作活動を高め合うものだったようです。スティーグリッツに傷つけられ迷走しながらも、自分を探し出す芯の強さと、才能と情熱溢れる画家、ジョージア・オキーフ。ブラックは色彩力を高めるだけのものだったのだろうか……。そんなことを考えながら展示されているワンピースを眺めました。

「ここはわたしの居場所。心が静かです。」と語ったニューメキシコでの暮らし

次の部屋にあったのは、ニューメキシコの荒野で暮らした頃のオキーフの写真とファッション。

オキーフが59歳の時に夫・スティーグリッツは他界。オキーフはすぐにニューメキシコに移住して、荒野の中にあるアビキューと、ゴーストランチの家に住みながら、その風景や牛骨などをテーマにした絵を98歳で亡くなるまで描き続けました。ニューヨークでの華々しい活躍は、本来の自分ではなかったと本人が言う通り、ニューメキシコのオキーフは、時にお茶目で、穏やかな表情。気取らないファッションもとてがとても素敵だなと思いました。素顔のオキーフにはじめて出会えたような安堵感がありました。

ジーンズにデニムシャツ姿のオキーフ。

バンダナは日焼け対策でもあったのでしょう。ブルー系で統一されたバンダナにもオキーフのこだわりが感じられます。

You are what you wear

オキーフのエキジビションを見終えた帰り道、いつものようにプロスペクトパーク(うちの近所にあるブルックリンの中でも一番大きな公園で、今は緑がとてもきれいです )に寄り道しながら「わたしの今のワードローブを並べて人に見せたら、わたしの人となりが伝わるものかしら?」なんていうことを考えました。うーん、若い頃よりテイストは絞られてきたとはいえ、オキーフのような迷いのないワードローブではないなぁ。あんなふうにわかりやすかったら、クローゼットだけでなく、時間も、頭の中も、シンプルでいられて、気持ち良く暮らせるに違いない。

わたしの服選びも、流行りものというよりは「自分に似合うもの」ではあるけれど、これからは自分を表現する「スタイル」という観点でファッションを考えてみたくなりました。とても良く似合ったら、同じデザインのワンピースの色違いを持つのもいいだろうし。「こういうのは持っているから」じゃなくて「これがわたしらしい」と考えて。

”You are what you wear. ” オキーフのように。

ニューメキシコにて。わたしはこの白いワンピースとジャケットのオキーフがとても好きです。

胸元には、ジョージアオキーフのイニシャルGとOのブローチが。おばあちゃんになっても、被写体としてのオキーフを求めて、多くのフォトグラファーが、彼女を撮影に訪れたそうです。(写真は目録のページから)

information

BROOKLYN MUSEUM

BROOKLYN MUSEUM
200 Eastern Parkway
Brooklyn NY 11238

718-638-5000

水・金土日 11:00-18:00
木 11:00-22:00
月火休

http://www.brooklynmuseum.org

地下鉄2/3線
イースタン・パークウェイ−ブルックリン・ミュージアム(Eastern Parkway-Brooklyn Museum)駅下車。駅を出るとすぐ美術館があります。

ブルックリンの美術館を代表するミュージアムで、ニューヨーク市の中でも第2の規模をほこります。

一般の入場料は16ドルと書いてありますが、希望の料金を支払うことができます。オキーフ展の入場料は別料金で大人20ドル。ウエッブサイトからも買うことができます。その場合は、午前か午後(2時以降)の選択が必要です。

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