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5月から6月にかけて、ブルックリンは新緑と花で溢れる季節になります。マグノリア、ハナミズキ、桜、ツツジ、ライラック、牡丹やシャクヤク、藤、バラ、タンポポも。次から次へと花が咲く様子にみんなも笑顔が溢れます。この時季のわたしの朝の散歩はブルックリン・ボタニックガーデン。今回は園内にある日本庭園の歴史とともに、大好きなブルックリン・ボタニックガーデンをご紹介します。

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パークスロープの街並み。写っているのは配達途中の郵便屋さん。

わたしの住まいは、ブルックリンのパークスロープ。閑静な住宅地として知られる地区で、雑誌に紹介されるようなカッコイイお店はない(残念!)のですが、代わりにブルックリンミュージアムやボタニックガーデンといった文化施設へは徒歩で行かれます。

ブルックリンミュージアムでは、今はジョージア・オキーフ展が開催中で、連日世界中からたくさんの人々がやってきます。そんなところへ歩いて行かれるのは、実は、とても幸せなこと(ちょっと自慢)。

緑の中でのんびりするもブルックリンの魅力。ブルックリン・ボタニックガーデンはみんなの憩いの場

観光客にはあまり人気がないのですが(植物鑑賞より、やっぱりアート鑑賞やショッピングですよね )、ブルックリンミュージアムの隣にある1910年創立のブルックリン・ボタニックガーデンは、わたしのお気に入りの場所です。特に5月の桜からはじまって6月のバラまで。春の花が順番に咲いていく様子が観たくて、この時季は、朝の散歩と称して週に数回出かけます。ガーデンの景色は日々少しずつ変化して、行くたびに新しい発見がもらえてワクワクします。鳥のさえずりを聞きながら、花を愛で、その香りを楽しむ朝の散歩。こんな贅沢を教えてくれるのもブルックリンです。


ブルックリン・ボタニックガーデンの東側の入り口。

特に人気が高いのは、ある日本人造園家が手がけた日本庭園

ボタニックガーデンの中には大人気の日本庭園があって、その歴史を知るまで、わたしは海外で作られた“ナンチャッテ”日本庭園だと勝手に軽んじていました。ある時、この庭園が、1915年に日本人の造園家によって作られたことを知って、当時の様子を知りたくなって、調べてみました。

この日本庭園は1915年にオープンしました。中央にある池の周りを回遊して鑑賞する「回遊式庭園」で、草木とともに、鳥居や灯籠、東屋(あずまや)、丘の上には小さな祠(ほこら)と、お稲荷さまも配されています。

ここを手がけたのは、千葉県夷隅(いずみ)郡出身の造園家、塩田武雄(しおた たけお 1881 ~ 1943 )。1907年、日本庭園を作ることがブームだったというアメリカに新天地を求めてやってきた武雄は当時26歳。ニューヨーク図書館で展示用のミニチュア庭園を作ったのが大評判になり、多くの私邸から日本庭園の造園を依頼されました。そしてブルックリン・ボタニックガーデンからも日本庭園の依頼が。着工は1914年。今のような機械はなく、作業は人力と馬力で進められたそうです。そして、翌1915年に、公共の場所としてはアメリカ初の日本庭園がブルックリンに生まれました。

丘の上の小さな祠(ほこら)とお稲荷さま

その後、アメリカ人女性と結婚した武蔵は、1920年、39歳でマンハッタンの五番街に造園会社のオフィスを構え、ニューヨークで造園業を続けていましたが、1939年、第二次世界対戦が始まると反日感情が高まって日本庭園は閉園を余儀なくされました。武蔵は、他の日本人や日系人と同様に日系人収容所に送られて、1943年、収容所の中で亡くなったと伝えられています。

戦後、ブルックリン・ボタニックガーデンは、日系人庭師フランク・オカムラを雇用して、武蔵が残した日本庭園の復元を依頼。新しい植物も植栽されて、現在に至っています。

日本庭園の入り口

四季折々に趣のある景色を見せてくれるこの庭園は、ブルックリン・ボタニックガーデンの顔ともいえる存在で、特に桜の季節には、中に入るのに長い行列ができるほど人気があります。

26歳でニューヨークにやってきたという塩田武雄さん。渡米時は、きっと英語はまだ流暢ではなかったのではないかな。その8年後に(わたしもニューヨークで暮らしはじめて8年)ボタニックガーデンの日本庭園を作るという大仕事にチャレンジした塩田武雄さんは、どの角度からの風景が一番気に入っていたのかな。そんなことを思いながら、今日も日本庭園を歩いてきました。

日本庭園の英語名は、Japanese Hill-and-Pond Garden

日本庭園以外にも、日本とつながりがあるボタニックガーデンの景色

日本庭園の外側にある八重桜の並木道。一番最初の桜の樹木は1921年。今も数本、当時の桜が残っています。現在は220本の桜の木を保有。満開は毎年5月の初め頃で、桜祭り(Sakura Matsuri と呼ばれて1982年にスタート)も開催されます。日本のようにシートを引いて場所取りはしませんし、食べ物やアルコールの持ち込みも禁止ですが、芝生の上で桜を眺めながら本を読んだり、おしゃべりしたり、ニューヨーカーは思い思いのひとときを楽しみます。

桜が終わると、次はPoeny(牡丹やシャクヤク)が開花します。ボタニックガーデンのPoenyは、2001年の同時多発テロによる大きな被害への追悼の意を表して、その翌年に牡丹の里として知られる島根県松江市からニューヨーク市へ、1000本の牡丹の苗がに寄贈された内の500本です。

ガーデナーにはたまらない!プランツセール

ブルックリン・ボタニックミュージアムの人気イベントのひとつ、プランツセールは5月開催。赤いラジオフライヤーをショッピングカートとして貸してくれて、その風景がたまらなく可愛いです。

数に限りがあって、早く行かないとなくなってしまうラジオフライヤー。

-ニューヨーク豆知識- ブルックリン・ボタニックガーデンに行くなら火曜日か土曜日がおすすめ  

火曜日
ブルックリン・ボタニックガーデンの入園料は無料です。

土曜日
近隣のグランドアーミープラザでグリーンマーケットが開催されるので、合わせて楽しめます。ブルックリン・ボタニックガーデンのお隣はブルックリンミュージアムなので、ここもスケジュールに入れましょう。


ブルックリン・ボタニックガーデン
Brooklyn Botanic Garden

北側入口:150 Eastern Parkway (上の写真)
南側入口:455 Flatbush Avenue
東側入口:990 Washington Avenue Brooklyn, NY
Tel: 718-623-7200
www.bbg.org

入園料 大人 $15
3月〜10月(夏季)
火〜金 8:00am~6:00pm
土日  10:00am~6:00pm
月   休園・祝日は要確認

11月
火〜金8:00am ~ 4:30pm
土日10:00am ~ 4:30pm

12月〜2月(冬季)
火〜日10:00am~4:30pm
月 休館

筆者プロフィール

上野朝子(うえのあさこ)

ブルックリン在住。文筆業、コンサルタント。
2009年に拠点をニューヨークに移し、現在はライフスタイル誌の取材・執筆、インテリアのコンサルティングなどを手がけながら、ブルックリンライフを楽しんでいる。

日本では、茅ヶ崎市で輸入生活雑貨店「サザン・アクセンツ」を手がける。その間、日本ーニューヨークを往復しながら商品買い付けやインテリアのコンサルティング、アメリカン・アンティークやインテリアの本を出版。近著は「ブルックリン散歩BOOK」(実業之日本社)。

ブルックリン散歩BOOK 単行本(ソフトカバー)

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