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ブルックリン・ライフのコラム第三弾は、異文化が重なり合うブルックリンの昔ながらの魅力について。古くからメルティングポット(人種のるつぼ)と呼ばれてきたニューヨーク市。ブルックリンの人口も38%が外国生まれといいます。母国を想いながらブルックリンで生き生きと暮らしている愛すべきニューヨーカーたち。そして彼らが作る料理やペイストリーはピカイチに美味しいです。

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映画「ブルックリン」の主人公

 みなさんは、2016年の夏に公開された映画「ブルックリン」をご覧になりましたか? 1950年代初頭にアイルランドの田舎町から、将来に夢を抱き、自由を求めてブルックリンに移住した女性の物語。長い船旅を終え、当時、移民局のあったエリス島での厳しい入国審査をパスし、主人公・エイリシュが外へ続くドアに向かうシーンがわたしは大好きで、何度見ても胸が熱くなってしまいます。

 この映画を見るたびに、エイリシュと重ねてしまう女性がいます。アイルランド出身ではありませんが、わたしの義母は1960年代初頭に母国コロンビアを離れて、ニューヨークにやってきました。当時のコロンビアは、女性が職業を持つのはタブーでしたが、義母は大好きな針仕事で自立するという夢を持っていました。30歳を過ぎた頃、ようやく厳格な父親の許しを得て、夢を叶えるためにニューヨークに独りやってきたときは、英語は一切話せなかったそうです。とても勇気のある決断だったと思います。マンハッタンのファッションディストリクトでお針子の仕事について、1年後に義父と出会い、結婚して、家族を作り、晩年になってアメリカの市民権を取った義母。自分が自立したニューヨーカーであることを今も誇りに思っている、今年86歳になる素敵な女性です。

ドイツ生まれ、南米コロンビア育ち。30代で単身ニューヨークへ。優しくて、芯のしっかりした女性、義母のマルゴットさん。

今も多くの移民が暮らすブルックリン

 ブルックリンは、古くから移民が多く暮らす地区として知られています。もし移民の存在がなかったら、トンネルも、橋も、建設が進まず、ニューヨークの経済の発展も著しく遅れたことでしょう。2010年の国勢調査によると、ブルックリンの住人の38%が外国生まれ。英語以外に、スペイン語、フランス語、イタリア語、ポーランド語、ロシア語、アラビア語、インド語、中国語、そして日本語など、たくさんの言語を日常の中で耳にするのも納得です。ときに異文化はぶつかることもありますが、それ以上に、受け入れて、共存しながら暮らしているブルックリン。「移民の街」という歴史を意識しながらこの街を歩くと、カッコイイだけがブルックリンの魅力じゃないことが、きっと見えてくるはずです。

グリーンポイントにあるお肉屋さん。店員とお客さんの会話は、ほとんどがポーランド語。自家製のソーセージとハムが人気で、値段はかなりお手頃です。わたしはグリーンポイントに出かけるときは必ずここに立ち寄って、一番長いソーセージとハムの厚切りを買って帰ります。

W-Nassau Meat Market
ダブリュー・ナッソー・ミートマーケット
915 Manhattan Ave.
718-389-6149

シリアからの移民で現オーナーのおじいさんが1930年に開業した中東系のベイカリー。店内にはホームメイドの中東の伝統ペイストリーがずらりと並び、どれもツヤツヤと美味しそう。フィロ生地の間にピスタチオをはさみ、焼き上げてから蜂蜜に浸したバクラバは、かなり甘いけれど病みつきになる味です。

Damascus Bread & Pastry Shop
ダマスカス ブレッド & ペイストリーショップ
195 Atlantic Ave
718-625-7070

同じエリアに集まる同郷の人たち - ブルックリン豆知識 -

母国の食材や雑貨が揃えやすく、言葉も母国語で話せるという利点から、同じエリアに同郷の人々が集まって暮らしています。昨今のブルックリン人気で土地が高騰し、この分類も少しずつ変わってきていますが、一部ご紹介しましょう。

・Bedford-Stuyvesant (Bed-Stuy) ベッドスタイ→アフリカン系
・Bushwick ブッシュウィック→ヒスパニック系/プエルトリコやドミニカ、南アフリカ系
・Greenpoint グリーンポイント→ポーランド人移民が多く“Little Poland“と呼ばれている
・Williamsburgウィリアムズバーグ→全米一のユダヤ人コミュニティーがある
・South Brooklyn サウスブルックリン→中国系が多く、チャイナタウンもある
・Brighton Beachブライトンビーチ→ロシア系、ウクライナ系 
・Bay Ridge ベイリッジ→アラブ系コミュニティー、イタリア系、アイリッシュ系

いろんな国の味が楽しめる

移民が多いということは、それだけいろんな国の料理が楽しめるということ。これはブルックリン(ニューヨーク)で暮らす特権でもあります。

南インドのクレープ料理Dosa (ドーサ)。南インドでは朝食や昼食のメニューとして人気があるそうです。ブルックリンやマンハッタンでもランチにオススメです。中身はいろいろ選べますが、例えばチキン入りを選んで、そこにマンゴーやトマトなどのチャツネをかけて一緒に食べると味に深みがでますよ。

南アフリカの移民が多いブッシュウィックにあるエチオピアン料理の店「Bunna Cafe」で初めて食べたエチオピアの味。見た目からは美味しいかどうか正直判断が難しかったのですが...食べてみると、様々な香辛料やフルーツといっしょに煮込んだ野菜や豆の絶妙な味加減に思わず笑みが!こぼれました。フラットブレッドにのせてパクッと頂きます。本来はすべて手で食べるんですが、やっぱりフォークですくったほうが食べやすかったです。

CHALLAH(ハラー)ブレッドというジューイッシュ(ユダヤ教徒)のパンです。本来は安息日やユダヤ教の祝祭日に焼いて食べるパンなのですが、ジューイッシュが多いブルックリンでは、大手スーパーやグローサリーストアでも普通に売られています。食感がふわふわで日本のパンと近い感じがします。

レバノンのZaatar Bread (ザターブレッド)です。フラットブレッドに、オリーブオイルを回しかけて、Sumacという中東の香辛料、タイム・オレガノ・セサミなどをトッピングして焼いています。わたしは、レバノン系アメリカ人のわが家の大家さんからザターブレッドを教えてもらいました。朝食として蜂蜜をかけて食べるのがわが家流(大家さん流)です。 写真は上でご紹介した「Damascus Bread & Pastry Shop」で買ったザターブレッド。

ベトナムサンドイッチはランチの定番です。これは「オリジナル」と呼ばれるひき肉入りのサンドイッチ。他にサーディン入りや、ベジタリアン向けに豆腐入りというのもあります。パンは見かけより軽く、人参の酢漬けがいいアクセントになって、ちょっと大きいなと思っても、つい食べきってしまいます。

筆者プロフィール

上野朝子(うえのあさこ)

ブルックリン在住。文筆業、コンサルタント。
2009年に拠点をニューヨークに移し、現在はライフスタイル誌の取材・執筆、インテリアのコンサルティングなどを手がけながら、ブルックリンライフを楽しんでいる。

日本では、茅ヶ崎市で輸入生活雑貨店「サザン・アクセンツ」を手がける。その間、日本ーニューヨークを往復しながら商品買い付けやインテリアのコンサルティング、アメリカン・アンティークやインテリアの本を出版。近著は「ブルックリン散歩BOOK」(実業之日本社)。

ブルックリン散歩BOOK 単行本(ソフトカバー)

暮らすように歩いて回る、ニューヨーク/ ブルックリンの街案内。大判地図と地域ごとのイラストマップが便利です。ナチュラルなのにとびきりおしゃれなブルックリナイトたちが大好きなスポットをコラムニスト&雑貨バイヤーの上野朝子が紹介します。ブルックリンは暮らす気分で町歩きが断然楽しい!

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