おせち料理は日本の伝統食にして保存食です。
何かと忙しい年の瀬ですが、お子さんと一緒におせち料理を作って、日本の伝統文化と生活の知恵を伝えませんか? おせち料理には、由来や詰め方など、子どもに伝えたい伝統文化と、三ヶ日の間は台所に立たなくても済むよう考えられた生活の知恵の両方が詰まっています。
冬休みの楽しい行事として、おせち料理作りを親子でできたら素敵ですね。
作るからには食べてほしい〜子どもが好きなおせち料理3選
おせち料理は酒のつまみになるようなものが多く、必ずしも子どもが好むものとは限りません。けれども、せっかく一緒に作るのなら子どもにも喜んで食べて欲しいものです。ここでは、伝統的な正統派おせち料理の中から、子どもにも好まれやすいものを3つご紹介します。
・紅白かまぼこ
かまぼこの形は「日の出」を象徴するため、紅白かまぼこは正統派のおせち料理の1つですが、普段から食べ慣れているので、子どもも喜んで食べることが多いようです。
準備も簡単で、普通の白と紅のかまぼこを8mm~1cmの厚さで切り、交互に重ねるだけで終了します。もちろん、余力のある方は飾り切りに挑戦しても素敵ですね。
小さなお子さんと作る場合には、切る部分だけ大人が行い、交互に並べたり、詰めたりする部分は子どもにやってもらうと良いです。「白、紅、白、紅」と言いながら詰めてもいいのですが、白は神聖、紅はめでたさを表しますので、「神聖、めでたさ、神聖、めでたさ」と言いながら詰めると、ちょっぴり盛り上がります。
・栗きんとん
栗きんとんも、正統派おせち料理の中で子どもが好むものの1つです。さつまいもを裏ごしする手間があり、準備はあまり簡単ではありませんが、家庭で作ったものは甘さも好みに調節でき、たっぷりと美味しさを堪能できることを考えると、作った甲斐があるというものです。
黄金色に輝く栗きんとんは、富の象徴で、お正月に相応しい料理ともいえるでしょう。
剥いた栗は搗栗(かちぐり)と呼ばれますが、武家では勝栗(かちぐり)の字を当て縁起物として扱いました。受験生のいるご家庭では、栗を加える部分だけでも参加してもらい、勝負運が上がるよう願いを込めるのもいいですね。
・黒豆
黒豆も子どもに人気です。黒豆には、まめ(健康)に暮らせるように、という意味が込められており、「まめに働く」などの言葉遊びからも、おせち料理には欠かせません。
一晩水につけておく必要がありますし、煮るのに時間はかかりますが、基本的に灰汁をとりながら煮ればいいだけなので、手間はかかりません。まめな性分でなくても作れてしまうのが嬉しいところです。
これさえ入っていれば大丈夫〜祝い肴三種(三つ肴)
地域や家庭によって入れるものが違うおせち料理ですが、おせちがおせちの体裁を整えるために最も重要だとされているものが祝い肴三種(三つ肴)です。逆にいうと、これさえあれば、他の料理が何であってもおせち料理と呼ぶことが可能です。
祝い肴三種は、関東と関西で少し異なり、関東では「黒豆、数の子、田作り」、関西では「黒豆、数の子、たたきごぼう」です。
・黒豆
関東、関西で共通です。
先にも触れましたように、「まめ」は古語で健康/頑丈という意味で、豆の中でも特に黒豆が選ばれたのは、黒々と日焼けするほど健康でありたいという願いからだとされています。
ふっくらつやつやに煮ることが多いですが、「しわが寄るまで長生きを」と、しわを寄せて煮る地方もありますので、どちらが出来上がっても嬉しいですね。
・数の子
関東、関西で共通です。
数の子は鰊(にしん)の卵です。二親(にしん)から沢山の子がでるので、おめでたいとされ、おせちに使われるようになりました。
きちんと準備するには、かずのこを塩抜きしたり、つけ汁を煮て冷ましたり、なかなか面倒ですので、すぐに食べられるものを買ってきて詰めてもいいですね。
・田作り
関東の祝い肴三種の1つです。三種の中には入れなくても、関西でも祝い肴として好まれています。
昔は、小魚を田畑に肥料として撒き、小魚は文字どおり田作りには欠かせないものでした。小魚を田の肥料としたところ五万米(ごまめ)ものコメが収穫できたという謂れもあり、ごまめの名前で呼ぶ地方もあります。
・たたきごぼう
たたきごぼうは、堅いごぼうを軟らかく煮て叩き、身を開いて、開運の縁起をかついだもの。根づく野菜であることから家の土台がしっかりとするようにとの願いを込め、ごぼうは、八幡巻や筑前煮などいろいろな地方でおせち料理の素材として使われています。
普段のお弁当や作り置きの夕食にも使えるおせち料理3選
おせち料理は、神様をお迎えするのに台所が騒がしくてはいけない、穢れが出てはいけない、ということから、冷蔵庫のない時代に、火を使わず、殺生もせずに三が日を過ごせるように考えられたもので、言わば保存食です。冷蔵庫のない時代とはいえ、料理したものは土間や廊下などの涼しい場所に置いて保存していたので、現代の暖房の効いた室内で同じようにできるわけではありませが、保存の知恵の生かされたおせち料理の中には、普段のお弁当や作り置きの夕食に活用出来るものが沢山あります。
おせち料理の一品を、いつものお弁当や夕食として、子どもと一緒につくってみてはいかがでしょうか? おせち料理の中に普段から作っているものが沢山あると、特別感は少し減りますが、準備は断然楽ですよ。
ここではお弁当や夕食に向くおせち料理の中から3品選んでご紹介します。
・ブリの照り焼き
下味をつけて冷凍保存すれば、好きな時に夕食に一品添えられます。お弁当にも便利です。3週間は保存が効くので、安い時にまとめて購入しておけば、節約メニューにもなりますよ。
・西京焼き
タイでもサケでも、そしてトリでも、西京みそとみりん、醤油、酒を合わせた漬けだれにつけて焼けば、立派な西京焼きになります。たれにつけた状態で冷凍保存も可能です。冷めても美味しく、お弁当にも贅沢な一品ですが、普段のおもてなし料理としても喜ばれます 。
・焼き豚
正統派の伝統のおせち料理とは言えませんが、 簡単に美味しくできます。冷めても美味しく、ご飯にはもちろん、パンに挟んでサンドイッチにしても美味しいです。夕食にもおもてなし料理にも、そして、本来の目的であるおせち料理にもお勧めの一品です。焼いた後に食べやすい大きさにスライスして、アルミホイルに包んで冷凍すれば、1ヶ月は保存可能です。
子どもと一緒に作ってみたいおせち料理はありましたか?
おせち料理は伝統食としての側面と、保存食としての側面の両方があります。両方活用すると伝統を守りつつ手抜き料理も可能な上、食育にも利用できてしまう優れものです。
子どもと一緒に作ったおせち料理で、新しい年を迎えると、なんだかいいことが起きるような予感がしませんか?